●台湾の在欧州代表機関として初めて「台湾」を名称に使用
●中国と距離を置くバルト3国の姿勢が鮮明に
台湾の外交部(外務省)は20日、事実上の大使館に当たる「台湾代表処」をリトアニアの首都ビリニュスに開設すると発表した。欧州には他にも台湾の代表機関があるが、名称に「台湾」が入るのは初めて。中国は強く反発している。
呉外交部長によると、両国は数カ月にわたる交渉の末、相手国の首都にそれぞれ代表機関を設置することで合意した。リトアニアは3月の時点で、年内に通商代表事務所を台北に設けると発表していた。
これまでにも両国が関係緊密化に動いている兆候はあった。リトアニアは5月、中国と中東欧諸国の提携の枠組みである「17+1」を離脱。6月には英アストラゼネカ製の新型コロナワクチン2万回分を台湾に無償提供すると発表した。
中東欧ではチェコも台湾との関係を深めている。プラハ市が2019年に上海市との姉妹都市提携を解消したほか、昨年にはミロシュ・ヴィストルジル上院議長が台湾を公式訪問した。
台湾はリトアニアなどバルト3国が50年にわたってソ連に統合されていた歴史を踏まえ、3国との関係緊密化を目指してきた。「地域への影響力拡大を狙う権威的な大国を目の前に、民主主義を守る小さな国」という地理的・政治的な立場で似通う部分が大きいためだ。
米国の事実上の在台湾大使館に当たる米国在台協会(ATT)は、今回の動きを歓迎する意向を表明。一方、台湾関係政策を担当する中国政府機関の国務院台湾事務弁公室は「台湾独立を目指す勢力に誤ったサインを送りかねない」と批判している。
台湾の国外代表機関の名称は「台湾」を用いず、「中華台北(チャイニーズタイペイ)」などとしていることが多い。2003年にスロバキアに設置された機関も「台北代表処」を名乗っている。