ダイムラー―商用車部門の分離を監査役会が承認、来年DAX入り―

独自動車大手ダイムラーは7月30日の監査役会で、商用車部門ダイムラー・トラックの分離・新規株式公開(IPO)計画を了承した。10月1日の臨時株主総会で株主の承認を得、年末までにIPOを実施する予定だ。

ダイムラーは同計画の概要を2月に発表した。自動車業界で進む構造転換に機敏に対応できる体制を整えることが狙いで、ダイムラーは乗用車とバンに特化する。自動車業界では「CASE」革命を背景に事業集中・選別の動きが強まっており、競合フォルクスワーゲン(VW)はすでに商用車部門の分離・上場を実施済みだ。ダイムラーも一足遅れで追随する。

ダイムラーは市場と顧客ニーズの変化に柔軟かつ迅速に対応できる体制を構築するため、2019年に持ち株会社となった。傘下に乗用車・バン事業の統括会社メルセデスベンツ、トラック・バス事業の統括会社ダイムラー・トラック、および金融と移動サービスを手がけるダイムラー・モビリティの3社を持つ。

今後はダイムラー・トラックを新会社ダイムラー・トラック・ホールディングへと改め、IPOを実施する。新会社の株式の65%をダイムラー株主に付与。残り35%のうち30%をダイムラー、5%をダイムラー年金基金が保有する。ダイムラーは新会社に対し支配的な影響力を行使しない。

ダイムラーは22年2月1日付で社名をメルセデスベンツ・グループへと改め、持ち株会社から乗用車とバンの事業会社へと変わる。また、ダイムラー・モビリティの事業はメルセデスベンツとダイムラー・トラックへと振り分けられる。

ダイムラーは現在、ドイツの最大手企業を対象とするフランクフルト証券取引所の株価指数DAXに採用されている。トラック部門の分離後もDAXにとどまるのはほぼ確実と目されている。

ダイムラー・トラックはIPOをフランクフルト市場で実施する。IPO後の22年第1四半期に実施される銘柄入れ替えでDAX入りを果たす見通しだ。

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