●トルコのパルムを500万米ドルで買収
●パルムは大学キャンパスの移動需要に絞りサービスを展開
電動キックボードのシェアリングサービスを手がけるアブダビの新興企業フェニックス(FENIX)はこのほど、トルコの同業パルム(PALM)を500万米ドル(4,179万リラ)で買収した。イスタンブール市の営業免許を持つ同社を取得し、トルコ市場に参入する。これにより、事業を展開する国の数は5カ国に増えた。
パルムは2019年に営業を開始。大学での移動需要に絞り、イスタンブールのほか、南部のメルシンでサービスを提供する。保有するキックボード数は1,500台。
一方、フェニックスは昨年7月の創業で、11月にサービスを開始した。地元アブダビのほか、バーレーン、カタール、サウジアラビアにも進出済みだ。今回の取引でサービス展開都市数は13都市、保有キックボード数は1万台に増える。
ジャイディープ・ダノア最高経営責任者(CEO)は、「トルコには8,300万人が住んでおり、人口が100万人以上の町が24都市ある」と話し、潜在需要を掘り起こしていく方針を明らかにした。また、湾岸諸国では気候の厳しい夏季に需要が減るため、トルコが加わることで季節による売上の波を和らげられるとみている。
売上の安定化に向けてはすでにアブダビで食品宅配サービス「F10」を導入した。また、年内にキックボード以外の乗り物の貸出も始める意向だ。
フェニックスはアラブ首長国連邦(UAE)とイスラエルが外交関係を正常化して間もない11月に、イスラエルの投資会社マニフ・モビリティからシード・ラウンドとして380万ドルを調達。今年2月にもサウジアラビアのエムカン・キャピタルと米国のパンテラ・キャピタルから合計120万ドルを調達した。その後もマニフとエムカンから資金を得ているもようだが、詳細は明らかにされていない。(1TRY=13.02JPY)