●景気の過熱を抑え、物価の安定を図る目的
●「段階的な金融引き締め」に向け、今後複数回の利上げを示唆
チェコ中央銀行は5日、主要政策金利である14日物レポ金利を0.25ポイント引き上げ、0.75%に設定した。利上げは2会合連続。景気の過熱を抑え、物価の安定を図るため追加利上げに踏み切った。ロンバート金利(上限金利)も0.5ポイント引き上げ、1.75%に設定した。公定歩合(下限金利)は0.05%で据え置いた。
同国の6月のインフレ率は2.8%となり、5月の2.9%から低下したものの、依然として目標水準(1~3%)の上限に近い。食品価格の高騰と燃料価格の上昇に加え、ロックダウン(都市封鎖)中の「買い控え」の反動による消費の拡大が影響している。中銀は今後について、年内は上限寄りで推移し、来年から目標水準の中央値(2%)に近づくとみている。
2021年4~6月期の国内総生産(GDP)は前年同期比7.8%増に急伸し、6四半期ぶりにプラスに転じた。今後の成長率見通しについては、今年は3.5%と5月予想時の1.2%から大幅に上方修正した一方、22年は0.2ポイント減の4.1%に変更した。23年からは3%台に戻るとみる。
中銀は声明で、経済状況の改善と賃金の急速な伸び、輸入品価格の高騰によりインフレ期待が高まっていると指摘。「段階的な金融引き締めは長期的にみて物価の安定をもたらし、チェコ経済への信頼を高める」とし、今後複数回の追加利上げを行う可能性を示唆した。年内はあと3回の政策決定会合が予定されている。