独連邦財務省傘下の財務機構(Finanzagentur)は16日、国の経済安定化基金(WSF)が航空大手ルフトハンザの保有株を一部売却し、出資比率を引き下げると発表した。コロナ禍で悪化した同社の財務が改善してきたことを踏まえた措置。ルフトハンザは国の支援からの脱却に向けて一歩、前進することになる。
ルフトハンザはコロナ禍で経営が急速に悪化した昨春、政府と交渉し総額90億ユーロの支援を取り付けた。具体的には◇政策金融機関のドイツ復興金融公庫(KfW)が民間銀行と共同で30億ユーロの協調融資を行う◇WSFが決議権のない出資を最大57億ユーロ実施するほか、第三者割当増資も引き受けて株式20%を1株当たり2.56ユーロ、総額およそ3億ユーロで取得する――を取り決めた。
WSFは市場の動きを睨みながら、今後数週間をかけてルフトハンザ株を最大5%売却する。16日の株価(約9ユーロ)をもとに計算すると、売却益は最大でおよそ2億ユーロに達する。
同社は経営の自由を取り戻すとともに、利払いコストを圧縮するため、国の支援を市場資金で早期返済する方針を示している。6月には増資の準備を金融機関に委託したことを明らかにした。