フランス政府は1日、新型コロナウイルスワクチンの接種を終えた人への本格的な追加接種(ブースター接種)を開始した。EUではドイツの一部の自治体で追加接種が始まっているが、国家レベルでの大規模な接種は主要国で初となる。
追加接種は65歳以上の人と、新型コロナに感染すると重篤化のリスクが高い基礎疾患がある人が対象。6カ月以上前にワクチンの2回目の接種を終えていることが条件となる。接種が1回で済む米ジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチンの接種者は、4週間後からファイザーまたはモデルナ製のワクチンを追加接種できる。
すでにフランスでは、臓器移植を受けた人など免疫不全の状態にある人への追加接種を実施している。デルタ株の流行で1日当たりの新規感染者が1万7,000人程度に上る中、夏休みが明けて学校が再開すると感染急拡大の恐れがあることから、政府は本格的な実施に踏み切った。
イスラエルなどで進む追加接種をめぐっては、世界保健機関(WHO)がまだ1回目の接種率が低い途上国などでの接種を優先するべきとして、控えるよう求めている。EUでも欧州医薬品庁(EMA)が8月初め、追加接種の必要性に関する十分なデータが現時点では揃っていないとして、実施に慎重な姿勢を表明。2日には欧州疾病予防管理センター(ECDC)が、一般の人に緊急に実施する必要はないとの見解を示した。それでもフランスで本格化したことで、追随する国が出てきそうだ。