モバイルバンキングサービスを手がける独新興企業N26は18日、事業の拡大に向けて米投資会社サード・ポイント・ベンチャーズなどから総額9億ドル強(約7億8,000万ユーロ)の出資を受けることで合意したと発表した。N26は今回の取引で90億ドル(78億ユーロ)と評価されており、同社の価値は独民間2位銀行コメルツ銀行(時価総額76億ユーロ)を上回った。フィンテックとしてはドイツ1位で、世界でもトップ20に入る。
同社は2013年の設立で、15年1月に振替口座サービスを開始した。顧客はスマホアプリの操作だけで同社に振替口座を開設できる。口座管理手数料や引き出し料金が一切かからないことから、顧客数が急増。現在は世界25カ国で計700万人が利用している。
今回確保する資金はアプリの拡充と新社員1,000人の採用に充てる。新規採用は主に技術、製品管理、デジタルセキュリティ分野で行う計画だ。
N26はまた、欧州の新規顧客数を今後数カ月間は月5万~7万人に抑制することをドイツの監督官庁と取り決めたことも明らかにした。同社は資金洗浄対策が不十分として独金融サービス監督庁(BaFin)から6月に制裁金支払いを命じられており、新規顧客数に上限を設けることで身元確認を強化する考えとみられる。
業界情報によると、N26の月当たりの新規顧客数は現在10万人に上ることから、顧客によっては口座開設の申請後、待機リストに載せられてしばらく待たされる可能性がある。