●食品宅配など新市場開拓を進め、事業の安定成長につなげる狙い
●O2Oの流通総額は過去3四半期で13倍に拡大
ロシアIT大手のメール・ルと国営金融・テクノロジー大手ズベル(旧ズベルバンク)が、配車・出前・宅配合弁事業のO2Oに122億ルーブル(約1億7,000万米ドル)を追加投資する。技術を含む資産拡大や人員強化を通じて食品宅配など新市場開拓を進め、事業の安定成長につなげる。
O2Oは2019年12月の設立。流通総額(GMV)は19年10-12月期(第4四半期)の34億ルーブル(5,400万ドル)から今年4-6月期(第2四半期)には451億ルーブル(6億900万ドル)へと13倍に拡大した。ズベルは「2~3年以内の損益分岐点到達」を見込んでいる。
ズベルのアンドレイ・ヴァニン・エコシステム開発部長は今回の投資判断について、「市場の需要がまだまだ満たされていないことを受け、資金注入でO2Oの地位強化を図ることにした」と説明した。メール・ルのボリス・ドブロディエフ最高経営責任者(CEO)は、パンデミックを機に食の調達形態が変化してデリバリー需要が拡大したことを指摘。利用者の求める迅速・簡便・安全なサービスを追及する方向性を示した。
両社は今年に入り、すでにO2Oへの追加投資を実施しており、今回の資金注入を合わせた今年の投資額は合計430億ルーブル(6億ドル)に拡大する。資金注入後も両社の出資比率は各45.01%で、変更はない。(1RUB=1.58JPY)