独バイオ医薬品企業ビオンテックは26日、伝令RNA(mRNA)ベースのワクチン工場をアフリカに建設することでルワンダ政府および、セネガルのダカール・パスツール研究所(IPD)と基本合意したと発表した。アフリカの人々に十分な量のワクチンが行き渡るようにすることが狙い。同社のウール・シャヒ最高経営責任者(CEO)は「アフリカの医療給付を共同で改善するために(55カ国が加盟する)アフリカ連合内でワクチンを開発し、持続可能なワクチン生産能力を構築することが我々の狙いだ」と抱負を語った。
ワクチン工場の建設を来年半ばにも開始する。すでに建材などの発注に取りかかっている。ビオンテックはアフリカ各地に分散型のワクチン工場を設置していく考えで、最初の工場は同大陸の生産ネットワークの中心的な拠点となる。
同工場ではフル稼働後、ビオンテックが米ファイザーと共同開発したmRNAベースの新型コロナウイルス用ワクチンを年5,000万回分、生産できるようになる。生産能力は段階的に引き上げていく意向。アフリカに設置するさらなる工場も含めると同地のmRNAワクチン生産能力は数億万回分に増える可能性がある。
アフリカ工場の運営は当初、ビオンテックが引き受ける。現地で十分な規模の人材を確保できないためだ。長期的には人材育成を通して、工場を現地パートナーに引き渡せるようにする。
ビオンテックはアフリカのワクチン事情改善に注力しており、7月には新型コロナワクチンの生産を南アフリカ企業バイオバックに委託することで合意した。マラリアワクチンを開発し、最大の流行地であるアフリカで生産する方針も打ち出している。