●53年までの目標達成には80%の削減が必要
●政府は石炭の利用削減に踏み込むべき=同NGO
トルコの環境団体エコスフィア協会はこのほど、政府が掲げる2053年までの温室効果ガスに関する中立性達成目標について、達成は非現実的であるとする声明を発表した。同協会によると、目標達成には今後32年間で排出量を80%削減する必要がある。同国は温暖化対策に関するパリ協定を批准している。同協定では各国は自ら排出ガス削減目標を設定し、削減努力を行うものとされている。
同協会によると、2053年までにトルコが二酸化炭素(CO2)中立性を達成するには温室効果ガス排出量を現在の5億600万トンから1億トンまで減らす必要がある。同1億トンについては森林などのCO2吸収源で担保することができる。パリ協定で同国は2030年までに排出量を9億2,900万トンまで増やすことが認められているが、政府は石炭の利用削減に踏み込んでおらず、53年の目標達成は非現実的だと同協会は主張している。
目標達成には石炭の利用を削減する必要があるほか、陸路と航路に関する運輸政策を見直したり、原子力開発に使われる資金を再生可能エネルギーやエネルギー効率の改善に充てたりすべきだと指摘する。
同協会はトルコの温室効果ガスについて、吸収量は2019年時点で8,400万トン、排出量はネット値で4億2,200万トンと算出している。吸収量は2053年までに1億トンまで増加するものの、同期間に排出量を4億トン削減しなければ目標達成は難しいと結論している。
同国の1990年の温室効果ガス排出量は2億2,000万トンだった。