独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は、ドイツのボルフスブルクにある本社工場の近くに次世代電気自動車(トリニティ・プロジェクト)の工場を新たに建設する計画を検討している。フォルクスワーゲン乗用車ブランドの最高経営責任者(CEO)であるラルフ・ブラントシュテッター氏が9日、メディアに明らかにした。当該計画は、12月9日のVW監査役会で決定する予定という。
ブラントシュテッター氏は、本社工場の改築も検討されているが、新工場を建設する可能性が高いとの見解も明らかにした。本社工場の近くに新工場を建設すれば、従業員の配置転換も容易に実施することができる、とコメントしている。ボルフスブルク工場では現在、約1万4,000人が生産部門に従事している。
ブラントシュテッター氏によると、新工場は差し当たり、2026年に最初の「トリニティ」モデルの生産を開始し、生産能力は年25万台となる見通し。その後、本社工場にある4つの生産ラインのうち、2つを電気自動車の生産ラインに変更する可能性があるという。これにより、本社工場の生産能力は2030年代には、内燃エンジン車が年約25万台、電気自動車は年約25万台となり、新工場も合わせると年約75万台の生産能力となる。
米電気自動車メーカーのテスラは、ドイツのグリューンハイデに建設中の新工場における1台あたりの生産時間で10時間を目指しているとされる。ブラントシュテッター氏は、計画中の新工場でも、1台あたりの生産時間を約10時間に削減できるとの見解を示している。