感染防止改正法案が成立、医療関係者などに接種義務

感染防止改正法案が10日、独連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)で可決された。新型コロナウイルスの感染が極めて高い水準に達し、集中治療がひっ迫していることに対応する狙い。医療や介護関係者の新型コロナワクチン接種を義務化するほか、薬剤師などにワクチン接種の資格を付与する。また、現在よりも制限度の高い規制を州が実施できるようにする。近日中に施行される見通しだ。

高齢者や病人は免疫力が弱いため、老人ホームや病院では新型コロナの集団感染がこれまで数多く、発生してきた。医療・介護関係者などがワクチンの接種を受ければ、そうしたケースを大幅に削減し、重症化したり死亡する人を減らせることから、改正法案では病院、介護施設・サービス、障害者施設、レスキュー隊、産院で働く人に接種を義務付けている。該当する就労者は接種証明ないし感染からの快復証明を雇用主に提示しなければならない。期限は来年3月15日。健康上の理由で接種を受けられない人はその旨を記した医師の証明書を提示することになる。違反者には罰金が科される。

政府はこれとは別に、新型コロナワクチンの接種を原則的にすべての国内在住者に義務付ける方針。現在は法制化の準備を進めている。

ドイツでは現在、ブースター接種希望者の急増と職場での3Gルール義務化を背景に、接種需要に供給が追い付かない状況となっている。これを解消するため改正法案には薬剤師と歯科医、獣医にワクチン接種資格を臨時付与することが盛り込まれた。

国内の新規感染者数はこのところやや減少しているものの、水準自体は依然として極めて高く、集中治療のキャパシティは限界に近い状況だ。このため州サイドは、現行の感染防止法で認められているよりも踏み込んだ制限措置を実施できるようにすることを要求。政府・与党はこの要求を改正法案にある程度、取り入れた。

現在、全国で行われている規制では、市民が私的・公的な場所で他人と会う際に非接種者がいる場合は、一家族に他の家族の2人を加えた人数が許容上限となっている(14歳未満は同規制の対象外)。会合参加者が接種完了者・快復者に限られる場合は人数制限が課されていない。改正法案が施行されると、州は接種完了者・快復者だけの会合でも人数制限を導入できるようになる。また、飲食店、クラブ、ディスコの営業と見本市、会議の開催を一時的に禁止できるようになる。

同国では現行の感染防止法が施行された11月25日からロックダウンが実施できなくなったが、それまでに導入されたロックダウンは例外的に12月15日まで有効とされてきた。感染者数が特に多いバイエルン、ザクセンの2州はこのルールに基づいてロックダウンを現在も実施している。改正法案にはその期限を3月19日まで延長することが盛り込まれたことから、両州は現在の厳しい制限措置を継続できるようになった。

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