スロバキア、放射線治療計画の策定支援ツール導入

●策定時間が3割以上短縮し、より早い治療開始が可能に

●放射線医の仕事量の大幅削減にもつながる

スロバキアで、人工知能(AI)を活用した放射線治療計画策定支援ツールにより、がん治療の効率化が進んでいる。計画策定にかかる時間が最低でも3割短縮し、より早く患者の治療に入ることができるためだ。治療の質も高まることから、患者の満足度も向上するという。

スロバキアでは、がん患者の6割が治療の過程で放射線の照射を受けている。その8~9割では、事前に撮影したCT(コンピュータ断層診断装置)を基に放射線の当て方や線量を決めるための前準備を「手作業」で行う必要があり、放射線医の仕事量の3分の1から半分を占めている。

しかし、支援ツールを使うと、CT画像から自動で素早く、治療の下敷きとなる画像が得られる。健康な臓器の輪郭がより正確に作成できるため、副作用のリスクも小さくなる。

スロバキア保健省の放射線治療部長を勤めるパヴォル・ドゥビンスキ教授は「このツールを導入して2カ月で、CTの撮影から治療計画策定が完了するまでの時間がほぼ2日短縮した。患者がそれだけ早く、本来の治療を受けられるということだ」と意義を強調している。

支援ツールは昨年、東スロバキアがん研究所で初めて試験的に導入された。放射線治療計画の策定作業を自動化する目的で、同治療を提供する全国の機関での利用を目指している。

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