欧州自動車大手のステランティスは7日、走行中の電気自動車(EV)に無線で充電できる非接触型(ワイヤレス)充電技術のテストコースをイタリアに開設したと発表した。同社が描く、環境対応と顧客満足の両立に向けた電動化戦略の一環。テスト用のEV車両として、フィアット「New 500」やイベコのバス「W-Way」がすでに走行試験を重ねており、想定以上の効果が得られているという。
「Arena del Futuro」(未来のアリーナ)と命名された同テストコースは、ステランティスが提携企業や機関、大学などと協力し、ミラノ東郊のキアリ付近を走る高速道路A35号線沿いに建設された。全長1,050メートルの周回コースで、充電出力は1メガワット(MW)。
舗装した路面の下に「DWPT(ダイナミック・ワイヤレス・パワー・トランスファー)」と呼ばれる充電システムが組み込まれており、エネルギー伝送の専用装置(レシーバー)を搭載した車両が走行すると自動で充電される仕組み。また、IoT(モノのインターネット)技術を活用したコネクテッド機能の車車間通信により、安全性も確保できるという。
ステランティスは無線充電技術開発の意義について、ユーザーに対しシームレスな充電機能を提供することで、航続距離が長く充電時間も短い「最先端のEV」を求める顧客のニーズを満たすことができるとみている。同社は2025年までに電動化とソフトウエア開発に300億ユーロ以上を投資するとともに、30年までに新車販売に占める低公害車(LEV)の割合を欧州で70%以上、米国で40%以上に引き上げる方針を掲げている。