インド鉄鋼大手のタタ製鉄は14日、英中部カンブリア州にあるシャップフェル第4石灰窯の改修工事を終えて操業を開始したことを明らかにした。投資額は約400万ポンド。改修により、石灰生産の効率と環境性が向上し、サウスウェールズ州にある国内最大のポート・タルボット製鉄所への持続可能な安定供給が可能になる。
石灰は製鋼プロセスにおける不純物の除去や、鉄鋼の品質向上に用いられる。石灰窯は石灰石を焼いて生石灰を生産するための施設で、第4窯は2016年以来稼働を停止していた。10カ月にわたり実施された今回の改修工事により、今後12年間でカルシウムを豊富に含んだ石灰製品を約150万トン生産できるようになるという。
プロジェクトは英エンジニアリング企業のセカサーム(Secatherm)と協力して実施した。燃焼材として、従来の木材の代わりに高温ガスを用いると同時に、気体の流れを監視する新技術を導入した。これにより排出削減や浄化を実現するとともに、窯の燃焼効率と省エネ性を的確に制御し、エネルギー消費量とコスト削減につなげる。
タタ製鉄は2050年までに欧州事業のカーボンニュートラルを実現するとともに、30年までに二酸化炭素(CO2)排出量を30%削減する目標を掲げている。