ナノファイバー材料開発 Gelatex(エストニア)

培養肉などに利用可能なナノファイバー材料の開発製造を手掛ける。独自技術により、ナノファイバー生産で一般的なエレクトロスピニング法に比べ生産の高速化と省エネを実現した。また、エレクトロスピニング法で作られるナノファイバーが平面状なのに対し、同社の製品は3次元(3D)の立体状のため、特に培養肉製造において様々なタイプの肉製品への応用が可能になる。培養肉の足場※を同社の3Dナノファイバーで作ることにより、培養肉の価格を90%下げることができるという。昨年11月に実施したシードラウンドでは120万ユーロを調達した。

同社は現在、3Dナノファイバー足場を1キログラム(kg)あたり1,000ユーロ未満の価格で製造している。今後は同価格を5年以内に40ユーロ、10年以内に20ユーロまで下げる計画だ。これにより、培養肉1kgあたり1ユーロ未満での提供が可能になるという。

ボストン・コンサルティングでは、培養肉は2040年までに世界の肉生産の35%を占めると予想する。一方、Gelatexは培養肉市場がアジアで急成長するとみており、まずシンガポールに進出する意向だ。成長が見込まれる中国も昨年、政府が国内の代替タンパク質分野の成長に向け多額の資金を投じる方針を明らかにしている。

Gelatexは2016年の設立。エストニアのタルトゥ大学の同窓であるマリアン・メイゴ・フォンセカ氏とメルトエリク・マルテンス氏により創設された。同社の技術は培養肉以外にも、マスク、絆創膏、ろ過素材などの製品に応用できる。

※足場:培養肉の生産に用いる食用材料で、細胞を培養して肉にする際の骨格となるもの。3Dの立体材料を足場に用いることで、細胞を支え、筋肉が成長発達する環境が整う。

Gelatex Technologies OÜ

Trummi 6-16, 12616, Tallinn, Estonia

info@gelatex.com https://www.gelatex.com/

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