欧州委員、域内の半導体産業強化へ「数百億ユーロ投資」

●EUは30年までに半導体市場シェアを20%に引き上げる目標

●「EUを半導体の純輸出国に」=欧州委のブルトン氏

欧州委員会のブルトン委員(域内市場担当)は1月27日、世界的な半導体不足を踏まえ、数百億ユーロを投じて域内の半導体産業を強化する方針を示した。欧州連合(EU)は2030年までに世界の半導体市場におけるシェアを現在の10%から20%に引き上げる目標を掲げており、近くまとめる「欧州半導体法」に実現に向けた投資計画を盛り込む。

半導体不足で製造業への影響が深刻化する中、EUは台湾や中国などアジアからの調達に依存する現状を脱却し、自給体制を構築して経済面で安全保障を確立することを目指している。欧州委は域内での研究開発から生産までを一貫して強化するための法的枠組みとなる欧州半導体法の策定を進めており、EUによる投資計画のほか、EUの国家補助規則を緩和して加盟国による半導体事業への支援を認めることなどを検討している。

ブルトン氏は記者団に対し「今日のところは具体的な投資規模について言及したくないが、米国が打ち出した半導体生産に対する支援の枠組みと同程度のものになるだろう」と述べた。米国では昨年、520億ドルを投じて半導体の国内生産を推進し、サプライチェーンを強化することなどを目的とした「CHIPS for America Act」が成立している。

同氏はさらに「戦略的投資を呼び込むために必要なことは何でもする。(新型コロナウイルス)ワクチンと同じように、EUを半導体の純輸出国にしたい」と強調。加盟国による資金支援を認める際の条件などについて最終段階の調整を進めていると説明した。

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