●同社はAIを活用したトラック輸送の総合運用サービスを提供
●米国で東欧からの移民ドライバーに焦点を当てた事業が成功
貨物マッチングアプリを運営するウクライナ発の新興企業カーゴファイ(Cargofy)が、シードラウンドで200万米ドルを調達した。事業拡大とアプリ改良、米国を中心とする個人貨物運送業者ネットワーク構築への軍資金とする。
カーゴファイは人工知能(AI)を活用したトラック輸送アグリゲーター(総合運用サービス)だ。荷主がアプリに必要な情報を入力すると、即座に料金を含めた輸送条件が表示される。発注・決済と同時に配送書類が自動作成される。また、宛先に到着するまでリアルタイムで荷物を追跡できる。
輸送を引き受けるのは主に個人営業のトラック運転手だ。カーゴファイに登録すると、稼働率を上げるために自ら受注に走り回る必要がなくなるほか、1マイル当たりの単価およびひと月当たりの最低発注量が保証される。受注に必要な事務手続きや請求手続きも省ける。
カーゴファイの創業者は2014年に配送マッチングアプリ「トナ(Tona)」を開発した。その成功を受けて17年、米国を拠点に事業者間(B2B)のマッチングに絞ったカーゴファイを立ち上げた。当初は東欧圏からの移民ドライバーに焦点を当て、それぞれ母語でアプリを操作できるようにした。これにより、信頼度の高いドライバーを確保。米国のほか、東欧でも事業を展開し、これまでに累計4万件を仲介した。
今回の資金調達では、ウクライナのJKRインベストメント・グループがリードインベスターを務めた。やはりウクライナを本拠とするフライヤー・ワン・ベンチャーズのほか、エンジェル投資家のムラト・アブドラフマノフ氏、ハンヌ・トゥルネン氏などが投資した。
統計サイトのスタティスタによると、個人向け電子商取引(EC)の世界売上高は昨年の4兆9,000億ドル(推定)から25年には7億4,000億ドルへ50%増加すると予測される。ECが伸びれば物流産業もこれに連動するのは必至だ。
JKRインベストメントは、量の増加でEC事業者にとって輸送業務の合理化が不可避となり、カーゴファイのようなサービスの需要が拡大するとみている。