●燃料価格と食品の値上がり、通貨リラ安が大きく影響
●エルドアン大統領は「低金利がインフレを下げる」と豪語
トルコ統計局(TUIK)が3日発表した1月の消費者物価指数(CPI)の上げ幅は前年同月比で48.7%となり、前月(36.1%)から12.6ポイント拡大した。これは2002年4月(52.7%)以来の高い水準。燃料価格と食品の値上がり、通貨リラ安に伴う輸入品価格の上昇が大きい。インフレ率の上昇は8カ月連続で、昨年5月からの上げ幅の合計は32.1ポイントに達する。
上昇率を分野別にみると、構成比重の最も大きい「食品・非アルコール飲料」で前月の43.8%から55.6%に拡大したほか、「住居費・公益料金」で19.8ポイント増の48.4%、「運輸(自動車燃料含む)」で15.2ポイント増の68.9%となり、全体が強く押し上げられた。上げ幅は最も低い「通信」でも10.8%に上っており、全分野で二桁台を記録した。
インフレの高進にもかかわらず、同国中銀は昨年9月以降、高金利を目の敵にするエルドアン大統領の意をくむ形で4回の利下げを実施し、政策金利を14%まで引き下げた。前回会合では据え置きを決めたものの、利上げを通じた金融引き締めに転じる姿勢をみせてはいない。エルドアン大統領は先月29日、支持者との集会で「今後も金利は引き下げられ、それによってインフレ率も下がる」と述べ、現在の状況は「すべて一時的なもの」だと言い切った。
リラは昨年、対米ドルで45%下落した。独格付機関スコープ・レーティングのデニス・シェン氏は、インフレ率を5%程度に抑えるとする中銀目標の達成は「短期的にみた場合、ほぼあり得ない」と断言。今後あり得るさらなる利下げと、それに伴う通貨の下落、世界的なコモディティ価格の高騰を考えると、インフレ率はしばらく高水準で推移するとの見方を示した。