半導体大手の米インテルが独東部のマグデブルク近郊に巨大生産施設(メガファブ)を建設するもようだ。複数の高官の情報として『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が2月25日付で報じた。計画は近日中に発表される予定だが、ウクライナ情勢の緊迫を受けて延期される可能性もあるという。同社は報道内容へのコメントを控えている。
同紙によると、マグデブルク近郊に複数の工場からなるメガファブを設置する。投資額は1つの工場で約100億ユーロに上ることから、投資総額は数百億ユーロに達するもようだ。雇用規模は2万人超。敷地面積はサッカー場およそ500個分に相当する。
同地に白羽の矢が立ったのは大学や研究機関が集積しているうえ、質の高い労働力も確保できるためだ。交通の便が良いことも決め手となった。アウトバーン14号線でライプチヒ空港と、半導体産業の集積地ドレスデンに簡単にアクセスできるうえ、首都ベルリンにも比較的近い。
パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は昨年9月、欧州に生産拠点を少なくとも2カ所、新設する方針を明らかにした。世界的な半導体不足、電気自動車(EV)向け半導体の需要増大を踏まえたもので、今後10年間で最大800億ユーロを投資する。
欧州連合(EU)は半導体産業の強化に乗り出しており、欧州委員会は8日、欧州半導体法案を発表した。2030年までに官民で430億ユーロを投じ、開発拠点や生産設備の増強を後押しするほか、有力メーカーの誘致にも力を入れ、東アジアなど域外への依存度を下げて安定供給を確保する考えだ。世界での半導体生産に占めるEUの割合を現在の9%から30年までに20%へと引き上げることを目指す。
インテルはEUの同政策を背景にメガファブ建設で巨額の補助金を受給する見通し。