ウクライナのテック企業、ロシア軍への抵抗の意志を明らかに

ウクライナのスタートアップ産業は小さいながらも、CIS(独立国家共同体)諸国の出身者を中心に多くのスタートアップが設立されており、世界規模で事業を展開する企業も少なくない。現在、ロシアによる軍事侵攻を受けている同国では大勢の民間人が徹底抗戦の構えをみせているが、それらスタートアップの起業家たちも例外ではないことを、スタートアップ・データベース大手の米クランチベースが24日に伝えている。

エストニアの著名アクセラレーターであるスタートアップ・ワイズガイ(Startup Wise Guys)はウクライナに拠点を置き、数十のポートフォリオ(アクセラレートの対象企業)への投資を行っている。最高経営責任者(CEO)のクリストバル・アロンゾ氏は「自社のスタッフはすでにウクライナを離れたが、ポートフォリオ企業の大半は残っている」と明かし、「多くのスタートアップ企業のスタッフが最前線で戦うことを望んでいる。私たちはそれを尊重しなければならない」と述べて理解を示した。

ウクライナ南部のオデッサに本拠を置くアプリ開発企業リアドル(Readdle)幹部のデニス・ザダノフ氏は、「国内の多くのテック企業のCEOが国にとどまる決定を下している。彼らの多くは国と人々を助けるため支援を行っている」と話す。

英文校正のオンラインプラットフォームとして有名な「グラマリー(Grammarly)」も同国発の企業だ。企業価値が16億ドルに達している同社は現在、米サンフランシスコに本社を構えるが、キエフには技術開発拠点を残している。同社のブラッド・フーバーCEOは、「(キエフが陥落する)最悪の事態に備えている。これにはグラマリーのサービスが中断されないようにするための計画も含まれる」とした。同社は3月1日、ウクライナ支援に5,000万ドルを寄付する旨を明らかにしている。

クランチベースによると、ウクライナには推定で20万人のエンジニアがおり、生活コストの低さと人件費の安さから世界中のハイテク企業が人材調達の場としてきた。現下の情勢ができるだけ早く平和な状態に戻り、同国のエンジニアがふたたび気兼ねなく活躍できるようになることを願うばかりだ。

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