日本航空(JAL)は4日、欧州線の運航を当面、羽田~ロンドン線に制限すると発表した。ロシアのウクライナ侵攻と欧米などの対露制裁を踏まえた措置。ロシア上空を飛行する本来のルートを見合わせ、北回りの迂回ルートで運航する。全日本空輸(ANA)も欧州向けのフライトを少なくとも10日までは成田~ブリュッセル、羽田~フランクフルト線に絞り込み、南回りで運行する。
欧米と異なり日本の航空会社は現時点でロシア空域の飛行を禁止されていない。ただ、経済制裁を受ける同国の空港に機材の故障で緊急着陸すると交換部品を確保できず、最終目的地にたどり着けなくなる恐れがあることから、ロシアを迂回せざるを得なくなった。
JALは今回の措置に伴い、成田~フランクフルト線と、羽田とパリ、ヘルシンキ、モスクワを結ぶ各線を当面、欠航とする。基本的に1週間程度の単位で運行方針を決定し、ダイヤをサイト上で発表する。パリ、ヘルシンキ、フランクフルト線の利用者には可能な限りロンドン線への振り替えで対応する。
羽田~ロンドン線はアラスカ、グリーンランド、アイスランド上空を通過する北回りルートで運航する。ロシア上空を飛行する本来のルートに比べ飛行時間は往路で2~3時間、復路で4時間程度、長くなる。
欧州の目的地をロンドンに決めたのは、JALが加盟する航空連合(スターアライアンス)の乗り継ぎに適した空港(ヒースロー)に最短距離で運行できるためだ。欧州線を過去に北回りで運行した実績もあり、安全に飛行できると判断した。