女性視点の技術トレンド「フェムテック」、イスラエルで花開くか

●フェムテックはIT技術により女性特有の問題解決を目指すもの

●男性投資家の理解を得づらいが、未開拓市場として関心を呼ぶ

イスラエルで女性向けの新しいサービスや製品を提供する起業家が注目されている。「フェムテック」と呼ばれるこれらのスタートアップは女性の視点から必要とされる製品を開発し提供しているのが特徴だ。資金の獲得では男性の多い投資家の理解を得るのが難しいなどの声もあるが、未開拓の市場として関心が高まりつつあり今後の成長が期待されている。

日系企業でマネージャーを務めるシャロン・ハンデルマン・ゴットリープ氏によると、フェムテックは基本的に女性のヘルスケアや生活の質を向上させる技術を指す。ゴットリープ氏は、これまでは健康医療やテクノロジーの分野で十分注目を集めてこなかったと話し、例として子宮内膜症のような女性に特有の疾患を挙げた。

ただ女性特有の問題は生理や更年期にとどまらない。ユーザーエクスペリエンス(UX)の研究者で女性起業家のシェリー・ブロッホ氏は、支払い能力の違いや金融リテラシーの違い、性差を原因とする暴力、医療ニーズなどの課題など女性に関わる課題があり、ニーズを探せばよりよいサービスの供給につながるとの見方を示す。特にアクセシビリティ(利用のしやすさ)の問題と見ることで新しいビジネスにつながるという。

イスラエルのフェムテックは認知度、投資及びダイバーシティという3つの課題に直面しており、未だ発展途上にある。大麻を利用した女性向け治療技術を開発するGynicaを創業したヨタム・ホッド氏は、生理、出血、セックスなど男性の投資家が取り上げることの難しい話題もあるという。ホッド氏は、基本的な考え方は変化し始めているものの投資家サイドが変わる必要があるとの見方を示す。

生理用品を開発するGals Bioの女性創業者ヒラ・シャビフ氏は女性の健康に関わる分野への投資も行っている。シャビフ氏は、この分野はこれまで無視されてきており、もっとリソースが割かれるべきだと述べる。同社が開発したカップ状の生理用品「Tulipon」は使い捨てながら生分解性で環境を汚染しないのが特長だ。将来的には健康状態を示すバイオマーカーとして女性の健康管理に役立てることもできるという。ただ、男性の多い投資家を説得するのは容易ではないとも打ち明ける。

前出のホッド氏は、フェムテックは医薬品や健康医療産業、医師の関心を呼び始めており、変化がみられると述べる。ブロッホ氏は、女性向けテクノロジー産業のポテンシャルに対する理解が広まっており、見通しは非常に明るいとの見方だ。

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