ワイヤーハーネス大手の独レオニは23日の決算発表で、ロシアの軍事侵攻を受けているウクライナでの生産を再開したことを明らかにした。同部品供給の停止を受け、顧客メーカーのフォルクスワーゲン(VW)やBMWが一部工場で生産停止に追い込まれたことを受けた措置。現地の従業員は自らの意思で仕事を再開した。
同社はウクライナ西部のストルイとコロミアに工場を持つ。現地の従業員数は合わせて約7,000人。ロシアの侵攻後は生産を停止したが、今週から再開した。生産能力の約3分の2を利用している。爆撃を受けるリスクがあるにもかかわらず、従業員は決然としているという。アルド・カンパー社長は「従業員は防空壕に退避しなければならない(こともある)。そこで気温が低いにもかかわらず数時間を過ごし、(警報が解除されると)再び仕事に取りかかる」と現地の状況を説明した。レオニが設置した対策本部は目まぐるしく変化する現地の状況をほぼ24時間体制で分析している。
ウクライナはレオニの世界生産能力の約10%を占めている。同国での生産減を穴埋めするため、すでに他の国の拠点の生産能力拡大に乗り出しているが、年内の全面相殺はできない見通しだ。
こうした状況を受け、経営陣は2022年12月期の売上高で50億ユーロ強、営業利益(EBIT、特別要因を除く)で千万ユーロのケタ台の半ばを確保するとした従来予測を取り下げた。
21年12月期の営業損益は1億7,200万ユーロの黒字となり、前期の赤字(5,900万ユーロ)から大幅に改善した。経営の立て直し策が奏功した格好。売上高は23.8%増えて51億1,900万ユーロとなった。純損益は4,800万ユーロの赤字となったものの、赤字幅は前期(3億3,000万ユーロ)から縮小した。