ロシアのプーチン大統領は3月30日の政令で、2025年から重要な情報通信(IT)イ
ンフラにおける外国製ソフトの使用を禁止した。新規導入は即時、許可制とする。
欧米IT企業のロシア撤退が続いているのに対応する動きだ。重要施設で使われる無
線・通信端末も国産品に置き換える。
タス通信によると、対象となるのは「保健・医療、製造、通信、運輸、エネル
ギー、金融、公共事業など、国家と社会が機能するために必要な通信システムおよ
び電気通信ネットワーク」だ。首相府は大統領令に基づき、◇1カ月以内に重要イ
ンフラ施設で政府が用いるソフトウエアの要件定義◇外国製ソフト及びサービスの
調達を調整する規則を決定◇6カ月以内に、重要インフラ施設で使われる無線・電
気通信端末を基本的に国産品へ置き換えるための措置をとる◇重要インフラ向けソ
フト・ハードウエアシステムの開発、生産、技術サポート・保守を実現維持するた
め、研究開発者と生産者から成る組織を結成◇監視・管理システムの整備◇関係職
員の研修を組織——などを担当する。
ウクライナ侵攻を機にロシアから撤退した大手IT企業には、アドビ、オートデス
ク、シスコ、IBM、インテル、マイクロソフト、エヌビディア、オラクル、SAP、ヴ
イエムウェアなどがある。ロシア連邦技術・輸出管理局(FSTEC)は、これら外国
のソフトウエア開発企業の撤退を受けて各社製品の免許を停止した。事業を再開し
なければ免許を取り消す。この場合、該当企業の製品を使っているメーカーや銀
行、行政機関は国産品への切り替えが求められる。
重要インフラを運営する企業は、外国製ソフトウエアを国内のソリューションに変
更しなければならない。原子力公社(ロスアトム)もその一つだ。独シーメンス、
仏ダッソー・システムズ、英SDLインターナショナルの製品を使っているが、ベラ
ルーシのインテルメフ(Intermech)製プラットフォームを用いたものに置き換え
るため、子会社AEMテクノロジーズが開発作業にとりかかったという。