自動車部品大手の独ボッシュは12日、自動運転用ソフトウエア開発の英ファイブを買収することで合意したと発表した。自動運転の安全性を一段と高める狙い。独禁当局の承認を経てファイブを取得し、クロスドメイン・コンピューティング・ソリューションズ事業部に統合する。買収金額など取引の詳細は明らかにしないことで合意した。
ファイブは2016年設立のスタートアップ企業で、ケンブリッジ本社を含め英国に計5拠点を展開している。従業員数は約140人。人工知能ベースの自動運転ソリューションに強みを持つ。近年はクラウドベースの自動運転ソフト開発・テスト用プラットホーム分野に注力している。同プラットホームを用いると、ソフト開発時間が短縮されるほか、車両へのソフト投入前と投入中にテストを行うことが可能になる。テスト車両データのリアルタイムの分析、様々なテストシナリオの作成、システム挙動の瞬時の評価・確認を行うためのシミュレーション環境の構築が可能になる。
ボッシュは自動運転分野の技術・競争力強化に取り組んでおり、3月には高精度3Dマップを手がける独アトラテック(Atlatec)の買収計画を明らかにした。自らをアクチュエーターからセンサー、地図、ソフト、エンジニアリング環境に至る自動運転のすべての構成要素を顧客に一手に提供できる唯一の企業だと主張している。