中国テック企業が秘かにロシア事業から撤退しているもようだ。米国が制裁措置の
一環として、ロシアに製品・技術を輸出している企業との取引を停止する構えを見
せているためで、すでにパソコン大手のレノボ(聯想集団)やスマホ大手のシャオ
ミ(小米科技)がロシア事業を停止したという。米『ニューヨークタイムズ』紙が
消息筋の情報として伝えた。
中国政府は自らが欧米などの対ロシア制裁に反対する立場から、自国企業に対し◇
ウクライナ戦争について意見を表明◇欧米の制裁措置に従う——などを禁じてい
る。このため、撤退も公表なしで実行に移されている。唯一、一般向けドローン大
手のSZ DJIテクノロジーだけが先月、ロシアおよびウクライナへの供給を停止する
と発表しただけだ。同社は、ロシア軍が自社製ドローンをウクライナの攻撃支援に
用いているという非難を受けて、「弊社製品が戦闘に悪用されることを防ぐ」目的
で両国での販売を停止したと説明した。しかし、ウクライナ戦争についてはコメン
トしなかった。
中国政府がまとめた貿易統計によると、3月のノートパソコンの対ロシア輸出は前
月比で40%、スマートフォンは3分の2近く、通信基地局は98%、それぞれ減少し
た。ジーナ・レイモンド米商務長官は先月、「欧米の輸出管理によってロシアのハ
イテク輸入が半分以下に減り、ロシアで半導体や軍用技術部品が不足している」と
効果をアピールした。
これは、欧米の対ロシア制裁がサプライチェーンの奥深くまで波及することを示し
ている。政府が制裁に反対している中国企業にさえ影響が及ぶということだ。中国
の対ロシア輸出は3月、全体として前月比で27%縮小した。
中国は自国企業に「他国が発動した不公平な制裁に従わないよう」強制できる法律
を整備するなど、「反制裁」対策を強化している。しかし、これまでのところ「制
裁ボイコット」を命じた例はない。