独アウディ、破損ガラスを再利用する共同パイロットプロジェクト実施

独自動車大手のアウディはこのほど、破損した自動車の窓ガラスをリサイクルする共同パイロットプロジェクトを実施すると発表した。回収した窓ガラスから再び自動車の窓ガラスを生産する試み。プロジェクトで好結果が得られれば、将来はアウディのコンパクトSUVの電気自動車「Q4 e-tron」にリサイクルして生産した窓ガラスを採用する計画。当該プロジェクトは、アウディの循環経済の構築に向けた取り組みの一環に位置づけられる。

プロジェクトには、アウディのほか、独リサイクリング会社のライリング・グラス・リサイクリング(以下、ライリング)、仏建材大手サンゴバン・グループ傘下のサンゴバン・グラスとサンゴバン・セキュリットが参加している。

アウディは親会社であるフォルクスワーゲン(VW)・グループのディーラー網を通して、顧客の車両から破損したガラスを回収する。ライリングは、回収した窓ガラスを細かく砕き、ガラスとその他の物質(アンテナや暖房用のワイヤー、金属、ポリビニルブチラール(PVB)膜(ガラスとガラスの間に挟む中間膜))などを分類する。

サンゴバン・グラスは、リサイクルされたガラスに石英砂などを混合し、板ガラスを製造する。サンゴバン・セキュリットは、この板ガラスを加工して自動車用ガラスを製造する。

自動車の破損ガラスはこれまで、飲料用の瓶や断熱材として再利用されていた。今回の試みでは、衝突時などの安全上の基準が厳しい自動車の窓ガラスに再利用する。これにより、省エネ・省資源が可能になり、新しい自動車ガラスの生産に比べ二酸化炭素排出量を最大30%削減することができる。

パイロットプロジェクトの実施期間は差し当たり1年とし、リサイクル自動車ガラスの品質、安定性、コストなどに関する知見を収集する。その結果、経済および環境の観点からリサイクルする価値があるとの結論に至れば、量産モデルである「Q4 e-tron」に採用する方針。

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