ポーランドが地熱利用を推進、開発事業予算を増額

●予算を従来の3億ズロチから4億8,000万ズロチに増額

●分析では、地熱エネルギーは国全体の熱需要の半分を満たす

ポーランドの国家環境保護・水管理基金(NFEPWM)はこのほど、自治体による地熱エネルギーの開発事業に対する助成総額を増やす方針を明らかにした。同基金の「ポーランド熱水供給増加事業」の一環で、予算額を従来の3億ズロチから4億8,000万ズロチ(1億3,200万ユーロ)まで引き上げる。予定される第2回の事業公募の予算総額は2億5,000万ズロチ。各自治体は9月末までに事業構想を政府に提出する。

NFEPWMの事業は2020年から実施されているもので、第1期事業に対する公募は昨年9月末に締め切られた。同基金は国内自治体の計15のプロジェクトに対する2億2,900万ズロチの助成を決定している。

予算増額の背景には同国の国立地質学研究所が今年初めに150の地点のうち65カ所が試掘先として有望であることを示した調査結果がある。過去に中部のシエラズ市が実施した試掘では有望な結果が得られている。

今回の決定について同国のアンナ・モスクバ気候・環境相は、地熱は気候変動ガスを排出しない上、季節や天候に関わらず安定しているのが魅力だと述べた。

高等会計検査院のレポートによると、現状では2020年に発表された再生可能エネルギーに関する国家行動計画で掲げられた地熱エネルギーの利用目標の5分の1しか達成されていない。地熱エネルギーは同国のエネルギー消費量の数パーセントを占めるようになる可能性があるとの見方もあるが、2015年以来同国では地熱に関連した施設の導入が止まっている。建設計画は進んでいるものの、平均6年と施設の建設に要する期間が長いのが課題だ。地熱を使ったコージェネレーション(熱電供給)施設はその設備をフル活用できていない。

高等会計検査院は、地熱エネルギーは国全体の熱需要の半分を満たすことができると分析しており、潜在的な可能性は大きく今後の開発が期待されている。(1PLN=28.97JPY)

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