オランダ総合化学DSM、スイス香料大手フィルメニッヒと合併へ

オランダの総合化学メーカーDSMは5月31日、スイスの香料大手フィルメニッヒと合併することで合意したと発表した。香水や美容製品、食品向け香料と原料の分野で世界最大級のメーカーが誕生する。両社の取締役会は合併計画を承認しており、競争当局の審査などを経て2023年上半期の手続き完了を見込む。

合併にあたり、DSMの株主は統合新会社DSMフィルメニッヒの株式65.5%を取得する。一方、非上場のフィルメニッヒ側は新会社の株式34.5%と、DSMから現金35億ユーロを受け取る。アナリストによると、DSMの30日終値に基づくフィルメニッヒの評価額は負債を含めて約192億ユーロとなる。

フィルメニッヒは1895年設立。主としてカルバン・クラインやティエリー・ミュグレーなど有名ブランドの香水や化粧品向けの香料を手がけ、同じくスイスのジボダンとともに世界の2大香料メーカーと位置付けられている。一方、DSMは食品や栄養補助食品、飼料、パーソナルケア製品などの原材料と、自動車や塗料、スポーツ用品などに使われるプラスチックや樹脂などを製造・販売している。

両社を合わせた2021年の売上高は約114億ユーロに上り、新会社のDSMフィルメニッヒは、21年に米デュポンのニュートリション事業を買収した米インターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランス(IFF)にとって最大のライバルとなる。

DSMは昨年9月、マテリアル事業の戦略的見直しに着手し、売却を含めた選択肢を検討する方針を打ち出した。健康・ニュートリション・バイオサイエンスの各分野に経営資源を集中する戦略で、フィルメニッヒとの合併もその一環。DSMは今回、機械部品や自動車部品として使用される耐熱性樹脂のエンジニアプラスチック事業を、ドイツの同業ランクセスとプライベートエクイティのアドベントに債務を含めて38億,5000万ユーロで売却する計画も併せて発表した。

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