自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は8日、同社などの企業と研究機関が車載用リチウムイオン電池(LiB)を何度もリサイクルする技術の確立に向けコンソーシアムを立ち上げると発表した。有限なバージン資源の使用量を可能な限り減らすとともに、電池原料分野で他の地域に対する欧州の依存度を引き下げ、安定したサプライチェーンを構築できるようにする狙いだ。独経済・気候省から補助金を受給する。同省のミヒャエル・ケルナー政務次官は「欧州の電池製造は可能な限りすべての分野で持続可能性の実現に重点的に取り組む場合にのみ実現できる」と語った。
「HVBatCycle」と命名された同コンソーシアムには計12の企業・研究機関が参加する。廃電池から品質を落とさず経済的かつ環境に優しく原料を取り出すためには、複雑なプロセスが必要となることから、様々な分野のプレイヤーが関与。JX金属の独子会社でレアメタル製品の開発・製造を手がけるTANIOBIS(タニオビス)もメンバーとなった。
参加メンバーは過去3年間、VW主導のもとで調査や研究を行ってきた。これをコンソーシアムに発展させ、電池を構成する正極材、電解液、グラファイトのクローズドループ・リサイクルに関する手法を研究・開発する。エネルギー消費量が少ない機械的・湿式製錬処理に照準を合わせる。
JX金属は「本コンソーシアムにおいてはTANIOBIS社の主要拠点であるゴスラーに、当社グループで培った技術をベースとした湿式プロセスの研究開発設備を新設し、フォルクスワーゲン社から提供される電池粉を用いて、プロジェクトパートナーとともに、高品質な電池原料を高収率で回収すべく、プロセスの最適化に取り組みます」との声明を出した。