●ハイロのAIプロセッサは毎秒最大26テラ回の演算能力を有す
●同製品はADAS「ムーボックス」の最新版に搭載
シンガポールの自動運転スタートアップであるムーヴィタ(MooVita)は14日、運転手監視システムを加えたドライバー支援システム(ADAS)「ムーボックス」の最新版を公開した。最先端の機能の実現に向けて、イスラエルの人工知能(AI)半導体メーカー、ハイロの製品を採用した。
ムーヴィタによると、最新版のムーボックスは、◇歩行者・車両との衝突を警告・防止◇車線逸脱防止システム◇速度超過警告・抑制◇ドライバー監視――といった最先鋭のADAS機能を備える。フリート管理システム(FMS)と統合し、小型かつ冷却ファンの要らない低消費電力を実現した。
採用されたハイロのエッジAIプロセッサ「ハイロ8」は、道路走行中のビジョンセンサやテレマティクスシステムの必要に耐える毎秒最大26テラ回(26TOPS)の演算能力を有する。ムーヴィタは、「ハイロ8」によって、ムーボックスが業界トップクラスの効率性と拡張性、高速処理、低遅延性を備えたデバイスに進化したと評価している。
また、ムーヴィタのアンソニー・ウォン最高技術責任者(CTO)は、自社の技術が、「安全性向上、車両のコンティション維持、修理・保守時間の短縮といった、運送業界のニーズを満たすのに役立つ」と自信を示した。
ハイロは2017年の創業。現場に近いエッジ側での演算処理を効率化する小型かつ省エネのAIプロセッサを手がける。2020年3月のシリーズB調達でNECからも資本を受け入れ、同10月にはソニーの内田裕之元社長をトップに迎えて日本法人を設立した。昨年11月のシリーズC調達では評価額が1億ドルを超えてユニコーン企業となった。