ガス配給対策をアルミ業界が策定、工場停止後の最重要課題は流動性管理

独アルミニウム製造業界は天然ガスの配給制が実施された場合の対策をすでに策定した。業界団体ADのヒンリッヒ・メールマン会長はロイター通信に、「ワーストケースシナリオへの準備は(アルミ)企業の緊急計画に記されている」と述べた。

同氏によると、まずは可能な分野でガスの使用を停止する。ただ、使用を停止できる量は限られるため、ガス供給量の減少幅が一定水準を越えれば、工場の操業を停止することになる。その段階に達した場合は、「少なくとも一定期間、会社が生き延びられるよう流動性を管理する」ことになる。ただ、流動性管理による延命期間は限られるとも述べていることから、ガス供給不足が長期化すると、経営破たんが避けられなくなる見通しだ。

会員企業を対象に実施したアンケート調査では、ガス以外のエネルギー源に切り替えることはできないとの回答が90%を占めた。供給量が30%減ると、企業の50%は生産停止に追い込まれる。

ドイツには「早期警戒」「警戒」「緊急」の3段階で構成される天然ガス供給の警戒システムがある。現在は第2段階の警戒が発令されている。警戒段階では市場メカニズムを通して問題に対処することから、国家は介入しないが、それでは対処できない場合は緊急が発令され、配給制が導入される。メーカー向けの供給量は連邦ネットワーク庁が割り当てることになるが、経済・社会システムを維持するために必要不可欠な企業は優遇される。

独アルミ業界の企業数は約240社で、雇用規模は6万人強。年間売上高は約220億ユーロに上る。

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