●ノキアンは昨年の乗用車タイヤ生産の約8割をロシア工場に依存
●ミシュランは事業を現地経営陣へ売却する方向
タイヤ大手の仏ミシュランとフィンランドのノキアンタイヤは6月28日、ロシアからの撤退を発表した。ロシア・ウクライナ戦争が長期化し、対ロシア制裁が厳しくなるなか、事業継続の見込みがないと判断した。ミシュランのロシア事業は売上ベースで2%に過ぎず、影響は限定的となりそうだ。一方でノキアンは昨年の乗用車タイヤ生産の約8割をロシア工場に頼っており、その打撃は大きい。
ノキアンタイヤはロシアへの依存が大きく、欧州連合(EU)による4月の追加制裁を受けて、ようやくロシアからの出荷を停止した。フィンランドと米国の既存工場強化と欧州における新工場整備で、失われた生産能力を補う方針だ。先ごろ、フィンランドの本社に隣接する敷地3ヘクタールの買収を決めたが、これが事業再編とどう関係するかは明らかになっていない。
ノキアンタイヤは2005年にロシア事業を開始した。ロシア・アジア事業は純売上高のおよそ20%を占めている。ロシアの従業員は1,600人強に上るが、現地の法規定と従業員の状況をみながら、撤退の形を具体化していく方針だ。ロシア資産関連では、4-6月期(第2四半期)に約3億ユーロの減損処理を行う。
グループ事業の再編に向けては、他の中核市場における成長に注力するとしている。
ミシュランは事業を現地経営陣へ売却する方向で、年内の撤退を目指す。3月中旬にロシア事業及び同国への輸出を停止したが、供給上の問題などから生産を再開するのは無理と判断した。
モスクワの南東およそ100キロメートルに位置するダヴィドヴォ工場を中心に、ミシュランはロシアで約1,000人を雇用している。同工場の年間出荷数は最大で200万本。グループ売上高の2%、生産数の1%に過ぎない。