原子力と天然ガスを欧州議会がグリーン認定

欧州連合(EU)の欧州議会は6日の本会議で、持続可能な経済活動かどうかを仕分ける「EUタクソノミー」について、原子力と天然ガスを脱炭素化に貢献するグリーンな投資対象と認定する委任規則案に反対する決議案を反対多数で否決した。これにより、欧州議会は一定の条件下で原子力と天然ガスによる発電を「持続可能」と分類する欧州委員会の提案を実質的に承認したことになり、閣僚理事会で不承認とならない限り、2023年1月1日付で委任規則が施行される。

委任規則は持続可能な経済活動として認定する際の基準を定めたもので、規則自体は22年1月から適用が開始されている。およそ500ページに及ぶ「グリーンリスト」では、風力や太陽光発電所の建設、低排出ガス車の生産、エネルギー効率化のためのシステム開発など、幅広い事業がグリーン投資の対象として分類されているが、加盟国間で意見が分かれる原子力と天然ガスについては結論を先送りしていた。

欧州委が2月に発表した委任規則の最終案によると、原子力については45年までに新規の建設認可を得るか、40年までに運転延長の認可を得ることを前提に、50年までに高レベル放射性廃棄物の最終処理施設について具体的な計画を策定するなどの要件を満たした場合に持続可能と認定する。天然ガスに関しては、30年末までに建設認可を受けた発電施設の場合、温室効果ガス排出量が二酸化炭素(CO2)換算で1キロワット時(kWh)当たり270グラム未満で、35年末までに再生可能または低炭素ガスに完全に切り替えることなどが要件となる。

原子力を持続可能と認定する案をめぐっては、原発推進派のフランスや東欧諸国が支持する一方、ドイツやオーストリアなどが強く反対。天然ガスについてはドイツや東欧諸国が支持する一方、オランダやスウェーデン、デンマークなどが認定に難色を示してきた。

オーストリアのゲウェッスラー気候行動・環境・エネルギーは6日、ツイッターへの投稿で「原子力と天然ガスは気候変動対策に貢献しない。委任規則はグリーンウォッシング(実質を伴わない環境訴求)にすきない」などと批判。委任規則が施行された場合、無効化を求めてEU司法裁判所に提訴する方針を表明した。

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