●アフリカなど途上国における飢餓を回避する狙い
●最大2,500万トンの穀物の輸出が可能に
黒海を経由したウクライナの穀物輸出再開に向け、国際連合、トルコ、ウクライナ、ロシアの4者が22日、イスタンブールで正式合意した。同時に、米国と欧州はロシアの食料・肥料を制裁対象から除外し、その輸出を可能にする。アフリカなど途上国における食料価格の上昇を抑え、飢餓を回避する狙い。ただ、合意の翌日にはロシアがオデッサ港を攻撃するなど、情勢は流動的だ。
今回の合意では、◇ウクライナ産穀物を輸送する船舶の安全を保障◇船舶輸送の管理調整を担当するセンターをイスタンブールに設ける◇同センターは4者の代表から成る◇合意は22日から120日間有効で、当事国が合意の解除・修正を通知しない限り、自動的に更新される――といった点が確認された。最大2,500万トンの輸出が可能になるとみられている。
ウクライナは世界的な穀物生産国だが、2月のロシアによる侵攻以来、主要な輸出経路である黒海沿岸港が封鎖されて輸送ができなくなった。鉄道、トラック、河川輸送により欧州経由で輸出しているが、さばける量には限度があり、先月の輸出量は前年同月の66%にとどまっている。
ウクライナに食物を依存する中東、アフリカ、アジアなどの途上国を中心に、価格高騰による食糧危機は、政情不安や紛争の激化につながるリスクがある。このため、アントニオ・グテーレス国連事務総長が今回の合意の骨子を提案。トルコの仲介で2カ月前から交渉が続けられてきた。