クレディ・スイスのCEO交代、3四半期連続の赤字で

スイスの金融大手クレディ・スイス・グループは7月27日、トマス・ゴットシュタイン最高経営責任者(CEO)に代わり、資産運用部門を率いてきたウルリッヒ・ケルナー氏を新CEOに充てる人事を発表した。ゴットシュタイン氏の退任に伴い、8月1日付でケルナー氏がCEOに就任する。

クレディ・スイスが同時に発表した2022年4~6月期決算は、最終損益が15億9,300万スイスフラン(約2,260億円)の赤字だった。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や、世界的なインフレを抑制するための主要中央銀行による相次ぐ利上げで市場が激変する中、投資銀行やトレーディング部門が振るわず、3四半期連続の赤字となった。

ゴットシュタイン氏がCEOに就任した20年2月以降、クレディ・スイスは米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントが債務不履行に陥り巨額の損失を被ったほか、企業間取引で生じる売掛債権を電子記録債権化して支払いを代行する「サプライチェーンファイナンス(SCF)」を手掛ける英グリーンシル・キャピタルの破綻でファンドの閉鎖に追い込まれるなど、不祥事が相次いでいた。こうした影響で同行の株価はこの間に約60%下落。業績改善の兆しもみられず、ゴットシュタイン氏に対する退任圧力が強まっていた。

後任のケルナー氏はクレディ・スイスで10年余り勤務した後、UBSグループに移籍して14~19年にUBSアセット・マネジメントのCEOを務めた経験を持つ。同氏は21年4月、グリーンシル問題を受けて更迭された資産運用部門トップの後任として、再びクレディ・スイスに迎えられた。同行はトップ交代で信用回復を図り、成長が見込めるウェルネスマネジメント(富裕層向け資産運用)などに軸足を移すとともに、グループ全体でコスト削減を進める方針を示している。

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