フォルクスワーゲン―次期社長がeフューエル実用化に意欲―

自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の次期社長に9月1日付で就任予定のオリファー・ブルーメ氏(子会社ポルシェの社長)が合成燃料「eフューエル」の車両投入に意欲を示している。同氏は業界紙『アウトモビルボッヘ』に、電気自動車だけでは世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5度未満に抑えるとしたパリ協定の目標を実現できないと指摘。eフューエルを実用化すれば二酸化炭素(CO2)の排出削減につながり、内燃機関車を数十年後も利用できるようになるとの認識を示した。

eフューエルは水を再生可能エネルギー電力で分解してできた水素を炭素と化学反応させて製造する燃料。炭素は大気中から確保することからCO2の排出削減に寄与する。ただ、エネルギー変換効率が低く、コストがかさむことから今月末で退任するヘルベルト・ディース社長は否定的な立場を取ってきた。

ポルシェはeフューエルの実用化に向けてエネルギー設備大手のシーメンス・エナジーなどと共同プロジェクトを進めている。マゼラン海峡に接し風力の多いチリ南部のマガジャネス州にグリーン水素とeフューエルを製造する世界初の総合施設を建設。製造されたeフューエルの主要な引き取り手となり、まずはモータースポーツや体験センターで使用する。自社ブランドの量産車に搭載することを視野に入れている。

ブルーメ氏はポルシェの社長として同プロジェクトを積極的に推し進めてきた。このためVW社長就任後はVWグループ全体でeフューエルの実用化に取り組む可能性がある。

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