ドイツのオーラフ・ショルツ首相は24~25日に中東3カ国を訪問し、ロシアのウクライナ侵攻、中東情勢、人権など幅広い分野で意見を交わした。そのなかで最も大きな注目を集めたのはエネルギー分野の協議。ロシアからの天然ガス供給の停止を受け、政府は他の国からの輸入を早急に増やしたい考えだ。
随行した独エネルギー大手RWEのマルクス・クレッバー社長はアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社(ADNOC)からLNG(液化天然ガス)を輸入することで合意した。年内にも供給を受ける。UAEのダース島で船積みされたLNG13万7,000立方メートルが12月末にも独北部のブルンスビュッテル港に到着する予定だ。ドイツはこれまで、LNGの再ガス化設備を持っておらず、同国初のLNG輸入となる。RWEは独政府の委託を受け同港で浮体式LNG貯蔵・再ガス化設備(FSRU)を運営することになっている。
同社はADNOCから2023年以降もLNGを数年間、輸入する。クレッバー社長はその趣意書にも署名した。
ショルツ首相が今回、訪問したのはUEAとサウジアラビア、カタールの3カ国。中東は太陽光と風力資源がともに豊富なため、再生可能エネルギーを用いてグリーン水素を生産するのに適している。炭素中立実現に必要なグリーン水素の多くを輸入で賄う方針のドイツにとって中東が持つ意味は大きい。
