自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は23日、電動車向け充電サービスを手がける子会社エリ(Elli)がベルギーの送電網事業者エリア・グループ、および同子会社のリアルト(re.alto)と電動車の電力網統合に向け協業の基本合意を締結したと発表した。電動車の統合に必要な中核的な要素を今後数年かけて調査していく。ユーザーと電力システムの双方にどのようなメリットがあるかを、パイロットプロジェクトを通して調べることなどを考えている。
具体的には(1)売電価格などの条件をどのように設定すれば電動車から電力網に電力を供給(ビークル・トゥ・グリッド=V2G)するモチベーションが高まるのかの調査(2)充電スタンドの選択を消費者が自由に行えるようにするためにはどうしたら良いかの調査(3)電動車のデータを安全で信頼できるものと認証し電力システムで利用できるようにするための安全性確保(4)より安全なデータ移転を可能にするメカニズムの研究――で協働する。
発電量が天候に大きく左右される再生可能エネルギーの利用拡大を受け、送電網を安定的に運営するためのハードルは高くなっている。電動車を電力網に統合し需給調整に利用できれば安定運営しやすくなることから、世界各地で実用化が目指されている。