●米国防総省に対し支援を要請したという報道の直後の発表
●ウクライナ側からは無料利用が「事実に反する」という声も
米国実業家のイーロン・マスク氏は15日、スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク」をウクライナ政府へ引き続き無償で提供すると発表した。米国防総省に対して支援を要請したという報道が流れた翌日のことで、今月初めの「和平案」発表以来、高まっていた批判に譲歩した形だ。
スターリンクはウクライナ軍の通信に利用されており、作戦遂行に不可欠な存在だ。ロシアによる侵攻直後に、マスク氏が無償でウクライナに設備及びサービスを提供したことを明らかにした。最新の発表によると、例えば地上ターミナルを約2万5,000台寄付したという。
しかし、米CNNの14日報道で、スペースXが先月、国防総省に対し、「無償提供の継続が難しい」として、資金的な支援を要請していた事実が明らかになった。スペースXによると、ウクライナにおけるスターリンク運営の費用は毎月およそ2,000万米ドルに上る。
一方、ウクライナ側からは、ウクライナが無償でスターリンクを利用しているというのは「事実に反する」という声も出ている。イナ・ソフスン国会議員は「使用料を毎月払っている個人や有志団体」を知っているという。ウクライナ軍のハイテク装備購入に寄付を集めるチャリティ団体「犬の手(Dzyga’s Paw)」のディミコ・ズルクテンコ氏も、スターリンクという技術を称賛する一方で「自分は、兵士自身や一般人がお金を出して買ったスターリンクしか見たことがない」と明かしている。