欧州連合(EU)加盟国は10月25日に開いたエネルギー相理事会で、建物の省エネ化推進に関する指令の改正で合意した。新築の建物は2030年、既存の建物は2050年までに温室効果ガス排出をゼロとすることを求める。欧州議会の承認を経て正式決定となる。
EUは50年に域内の温室効果ガス排出を実質ゼロにする目標を掲げている。中間点となる30年には1990年比で55%削減することを目指しており、その実現に向けた政策パッケージ「Fit for 55」を21年7月に発表した。建物の省エネ化に関する指令は、同パッケージの一部となるものだ。老朽化したビルなどの改築を促進し、断熱強化や冷暖房効率の向上、照明機器などの効率化などによって排出を実質ゼロとする。
エネルギー相理事会が合意した改正は、欧州委員会が21年12月に提案していたもの。新築物件のうち公共の建物は28年、その他は30年までに排出を実質ゼロにしなければならない。病院、防衛、宗教施設など一部の建物は例外となる。
既存の建物については種類に応じて段階的に省エネ化を強化し、50年までに排出をゼロとする。