ドイツ政府は10月26日の閣議で嗜好用大麻を合法化する方針を了承した。大麻消費のすそ野は広いものの、法的に禁止されていることから犯罪組織の資金源となっている。合法化により闇市場を封じ込める意向だ。欧州連合(EU)欧州委員会の承認を得られれば、来年第1四半期にも法案を作成する。医療用大麻はすでに健康保険の給付対象となっている。嗜好用が合法化されると、規制がさらに緩和されることになる。
嗜好用を合法化する場合は、栽培と販売をともに免許制とする。品質管理も行い、不純物が混入しないようにする。購入・使用できるのは18歳以上の成人で、取得・所持量に20~30グラムの上限を設定する。1人当たり3本を上限に個人栽培も認める。広告は禁止。大麻を使用した未成年に対しては使用予防プログラムへの参加を義務付ける。
法制化の前に欧州委の許可を求めるのは合法化が国際法とEU法に抵触する恐れがあるためだ。特に、域内の国境を検査なしで通過することを保障したシェンゲン協定との兼ね合いがポイントとなる。法制化した場合は、施行の4年後に検証を行い、必要に応じて改正を行う。
ドイツでは昨年、人口の約5%に当たる推定400万人が大麻を使用した。18~24歳の若年層では25%と高い。未成年でも使用者は多い。カール・ラウターバッハ保健相は「大麻使用を合法化することで、青少年保護と健康保護を改善したい」と語った。