自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)グループは3日、炭素中立のデータセンター運営会社であるノルウェーのグリーン・マウンテンから借り受けるコンピューティング容量を拡大したと発表した。IT分野での二酸化炭素(CO2)排出削減に向けた取り組みの一環で、VWは使用する自社内外のデータセンターで2027年までに炭素中立を実現する目標も明らかにした。
グリーン・マウンテンは事業で使用する電力を100%水力発電で賄っている。コンピューターの冷却にはフィヨルド(峡湾)の海底にある温度が安定した冷水を利用する。
VWは2019年、本社所在地ヴォルフスブルクのデータセンター開設に合わせてグリーン・マウンテンとの協業を開始。クラッシュテストのシミュレーションなど、緊急性はないものの大容量を要するプロジェクトでノルウェー南部のテレマルク県にあるグリーン・マウンテンの施設を利用してきた。
VWは今回新たに、グリーン・マウンテンが南部のスタバンゲル村に開設したデータセンターに3メガワットの容量を確保した。これに伴いVWが全世界で利用するデータセンターの25%が炭素中立で運営されることになる。CO2排出量は年1万トン削減される計算だ。同社が利用するデータセンターはヴォルフスブルクに3カ所、ノルウェーに2カ所、シンガポールに1カ所ある。
世界のCO2排出に占めるITの割合は約3%に上る。データセンターはIT部門最大の排出源であることから、欧州連合(EU)は炭素中立化を要求。欧州のデータセンター事業者団体はこれを受け、30年までに実現することを取り決めた。VWはその3年前の27年までに実現することで温暖化防止に積極的に取り組んでいる姿勢をアピールする。