イスラエルのストアドット、半固体電池の中期的な利用を提唱

●全固体電池の商業化には少なくとも10年の開発期間が必要

●量産の比較的容易な半固体電池に注力、28年までに商業化を図る

電動車(EV)向け超高速充電(XFC)バッテリーを開発するイスラエルのストアドットはこのほど、全固体電池の商業化には少なくとも10年の開発期間が必要だとし、自動車メーカーは中期的に半固体電池のような技術の利用を検討すべきだとする見解を明らかにした。同社は既存の技術を使い、2024年までに5分間の充電で100キロメートルの走行が可能な製品の開発を進めている。

全固体電池はエネルギー密度が高くコスト効率に優れ、安全で急速充電が可能な電池として世界各地で開発が進められてきた。しかしリチウムイオン電池などの従来技術と異なり、電解質に液体やポリマーではなく固体電解質を利用しているため電池出力を上げにくく、大量生産も難しいとされる。これを踏まえ同社は、全固体電池に性能面で近く、量産の比較的容易な半固体電池に注力し、2028年までに商業化を図る予定だ。

ストアドットは今年3月に新製品「100inX」の開発計画を発表した。同計画は100マイル(約160キロ)の走行が可能になる充電時間に応じ、電池の開発期間を3世代に分けて設定している。5分間で100マイルを走行できるシリコンを用いた急速充電地(XFC)「100in5」の実現は2024年、充電時間3分の半固体電池「100in3」が28年で、同2分の全固体電池「100in2」が32年になると想定されている。

同社はリチウムイオン電池の部材の設計に人工知能(AI)のアルゴリズムを導入し、性能の向上を図ってきた。技術開発を通して充放電サイクル寿命が1,000回を上回るEV向け電池の市場投入を可能にし、すでにパウチ型セルとして自動車のOEM企業に供給している。

ストアドットへの出資企業や提携先には独ダイムラーやスウェーデンのボルボ、韓国の家電大手サムソン、TDKの他、英エネルギー大手BPなどがある。

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