欧州連合(EU)の欧州委員会は10日、自動車の新たな排ガス規制案「ユーロ7」を発表した。排ガスに加え、タイヤやブレーキの摩耗で生じる粒子状物質の排出も厳しく規制するというもので、電気自動車(BEV)なども規制対象となる。乗用車と小型商用車(バン)は2025年7月、大型車(トラックやバス)は27年7月から厳格化された基準が適用される見通し。今後、欧州議会と閣僚理事会で規制案について議論する。
EUでは現在、乗用車とバンは「ユーロ6」、大型車は「ユーロⅥ」とそれぞれ異なる規則が適用されている。新規則ではこれを一本化したうえで、温室効果ガスを排出しないBEVや燃料電池車も規制の対象に加え、より広範な大気汚染物質の排出削減を目指す。
EUは35年までにガソリン車など内燃機関を搭載した新車の販売を事実上禁止し、すべての新車をゼロエミッション化する方針を打ち出している。実際にEU内ではBEVなどの販売が伸びているが、欧州委は50年時点で域内を走る自動車のうち、内燃機関搭載車が乗用車とバンで少なくとも2割、大型車では半数以上を占めるとの予測を示し、道路輸送部門の脱炭素化を実現するため、より厳格な規制を導入する必要があると説明している。
規則案によると、大型車は排ガスの許容限度が引き下げられ、乗用車とバンは現行規則の下限に設定される。窒素酸化物(NOx)の排出量は現行規則の基準値と比べ、35年までに乗用車とバンで35%、大型車で56%の削減が求められる。
規制の対象となる大気汚染物質も増やし、現在は大型車のみを対象としているアンモニアの排出規制を乗用車とバンにも適用する。また、大型車に対しては新たにホルムアルデヒドなどの排出を制限する。
排ガス規制に絡んだ過去の不正事件に対する反省から、各メーカーに車載型排ガス監視システムの搭載を義務付け、監督当局がライフサイクル全般を通して排出基準への適合性を監視できる体制を整える。