スウェーデン商用車大手のボルボグループは10日、化石燃料フリーの高品質鋼板を用いた44トン電気トラックの納車を開始したと発表した。当該鋼板は同国の鉄鋼大手SSABが水素技術を用いて製造するもので、トラックのフレームレールなどに採用されている。化石燃料フリーの鋼材を使った電気トラックの量産は世界初となる。
SSABの当該鋼板は従来のコークスに代わり水素を還元剤として使う製鉄技術により製造される。水素は再生可能エネルギーから生成されるため、バリューチェーン全体の脱炭素化に寄与する。ボルボは2021年から同社と化石燃料フリーの高品質な鋼板開発で協力している。
電気トラックの顧客企業には、デンマークの海運・物流大手DFDS、米IT・ネット通販大手のアマゾン、英食品・日用品大手のユニリーバなどがある。
ボルボは今後、化石燃料フリーの鋼材を車両の他の部分にも導入していく予定だ。同社は2040年までに二酸化炭素(CO2)排出量ゼロの達成を目指しており、当該鋼板が脱炭素化への取り組みを加速すると期待されている。同社によると、ボルボトラックの新車では部材の約30%にリサイクル素材が使われており、廃車時には最大90%がリサイクルされる。