企業の先行き見通しが大幅改善、エネ支援や配給制実施リスク低下で

Ifo経済研究所が24日発表した11月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は86.3となり、前月を1.8ポイント上回った。同指数の上昇は2カ月連続。今後6カ月の見通しを示す期待指数が大幅に改善したことが大きい。クレメンス・フュスト所長は「(今後予想される)景気後退は多くの人が想定するほど深刻にはならないかもしれない」との見方を示した。

期待指数は80.0となり、前月を4.1ポイント上回った。エネルギー価格高騰の直撃を受ける企業への支援策を政府が拡大することが大きい。気温が例年より高いうえ消費者と企業が省エネに努めていることを受け、天然ガス配給制実施のリスクが低下している事情もプラスに働いているもようだ。

現状判断を示す指数は93.1となり、前月を1.1ポイント下回った。同指数の低下は6カ月連続。

景況感を部門別でみると、製造業は大幅に好転した。期待指数が改善したためで、先行き不透明感を示す指数は高水準ながらやや低下した。ただ、エネルギー集約型産業に限ると先行き不透明感が一段と強まっている。製造業の現状判断指数は悪化した。

景況感はサービス業でも大きく改善した。先行き見通しがこれまでのよりも良好になったためだ。現状判断を示す指数は落ち込んだ。

流通業では期待指数が大幅に上昇。現状判断もやや改善した。先行き見通しに関しては約半数の企業が悲観的な見方を示している。

建設業では現状判断が大きく改善。期待指数も前月をやや上回った。新規受注は減少が続いており、先行きを悲観する企業は依然として多い。

輸出期待指数がプラスの領域まで回復

Ifoが28日に発表した11月の独製造業輸出期待指数(DI)は0.4ポイントとなり、前月のマイナス4.6ポイントから改善した。同指数がプラスの領域に戻るのは5カ月ぶり。状況は依然として厳しいもののフュスト氏は、輸出産業に小さな希望の光が見えてきたとの見方を示した。

Ifoは月例の企業景況感調査の一環としてメーカーおよそ2,300社に今後3カ月の輸出見通しを質問している。メーカーは「増える」「横ばい」「減る」のどれかを選んで回答。「増える」の回答比率から「減る」の回答比率を引いた数に季節調整を加味したものが輸出期待指数となる。同指数がマイナスの領域にあることは、輸出減回答が輸出増回答を上回っていることを意味する。

11月は前月に大きく悪化した自動車業界で再び改善。輸出増を見込む企業が輸出減を上回った。電機と機械は輸出増と輸出減がほぼ拮抗。飲料、家具、化学では輸出減が輸出増よりも多かった。フュスト氏は、エネルギー集約型産業の輸出環境は厳しいと述べた。製造コスト上昇に伴う価格競争力の低下を念頭に置いた発言だ。

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