ハンガリーなど4カ国が天然ガス回廊の実現で合意

ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、ギリシャの4カ国は1日、天然ガス供給網の
相互接続と輸送能力の向上に向け協力することで覚書(MoU)を交わした。4カ国を
経由して欧州の南北間でガスを双方向に輸送する「垂直ガス回廊」の実現に一歩、
近づいた格好。欧州のガス調達の多様化とエネルギー安全保障の強化につながる。
覚書によると、4カ国はパイプラインの新たな敷設や接続工事、既存の供給網の強
化など技術要件を調査し、欧州連合(EU)のエネルギー戦略に合致する形でプロ
ジェクトを進める。覚書は3年間有効で、1年延長のオプションが付く。4カ国は
2016年に「垂直ガス回廊」の実現に必要なインフラ開発で合意しており、今回の覚
書はこれに基づいたものとなる。
覚書は同日にアテネで開催された第22回世界液化天然ガス(LNG)サミットに合わ
せ、ギリシャのDESFA、ブルガリアのブルガルトランスガス、ハンガリーのFGSZ、
ルーマニアのSNTGNトランスガスのガス輸送4社と、ブルガリアとギリシャを結ぶ天
然ガスパイプライン「インターコネクター・ギリシャ・ブルガリア(IGB)」の運
営企業ICGB(ブルガリア)、およびギリシャ北部アレクサンドルーポリ港の浮体式
LNG貯蔵・再ガス化設備(FSRU)開発企業ガストレード(ギリシャ)の2社によって
署名された。
IGBの年間輸送能力は現在30億立方メートル。ICGBの関係者は、DESFAと協力して同
能力を年間50億立方メートルまで引き上げられると述べ、24年にアレクサンドルー
ポリ沖のFSRUが予定する試運転に合わせて実行されるとの認識を示した。ブルガリ
アはロシア産ガスに対するルーブル払いの要求を拒否した後、同国からの供給が途
絶している。

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