●資金規模は1,300万ユーロ、アーリーステージの企業を支援
●ディーブテックおよびライフサイエンス技術に特化
リトアニアの新ベンチャーキャピタル(VC)「バルティック・サンドボックス(Baltic Sandbox)」がアーリーステージのディーブテックおよびライフサイエンス技術に特化したファンドを新設した。バルト三国をはじめとする中東欧の新興企業が必要とする資金を提供するだけでなく、業界企業との関係づくりを支援する。中東欧におけるディーブテック事業環境の構築に貢献する狙いだ。
バルティック・サンドボックスは、募集予定の1,300万ユーロのうち、すでに1,000万ユーロをリトアニア政府系の起業促進金融機関INVEGAのほか、ヴィートウタス・カシェータ氏(ブロックチェーン開発のスーパーハウの共同創業者)、ピユス・マカレヴィチウス氏(オンライン家具販売ファニチャーワンの創業者)などの民間投資家から調達した。資金は最終的に、650万ユーロずつプレシード期とシード期のスタートアップに投入する。
具体的には、◇アクセレーション資金として60チームに各2万5,500ユーロ◇プレシード投資として、23チームにそれぞれ最大10万ユーロ◇シード期の追加投資として18チームに20~40万ユーロ――を配分する。特に、特許取得が可能あるいは済んでいる技術を掘り出していく方針だ。
中東欧地域は欧州でもVC投資が伸びている。その背景には、技術スキルの優れた人材の存在がある。しかし、2020年の欧州VC投資のうちディープテック分野向けは4分の1に過ぎない。バルティック・サンドボックスでは、その理由が欧州投資家のリスク許容度が比較的低いことに加え、まだ技術が完成していないアーリーステージのスタートアップのなかから有望なものを見つけ出して育てていく技量が欠けていることにあるとみる。アクセラレーターとして集めたノウハウを活かしてまずはバルト三国のスタートアップ投資に集中する。来年および再来年に、欧州の他の地域を対象としたファンドを設置する計画だ。